2013年12月25日
MONTANO NO130
第23弾は MONTANO NO130 です。
1950年代制作と思われるギターです。
この年代の日本製のアーチトップギターはフレット音痴で高音域と低音域がずれているモノが多いのですが、このギターはそこそこ合っていて、結構使えます。
第1印象では軽いせいもあって安っぽい感じがしていたのですが、使ってみると、まともでびっくりしました。
通常9フレットに在るポジションマークが10フレットに在る理由は判りませんが・・・
だいたいこうした楽器はコードで弾くと音程がバラバラなケースが多く、メロディしか弾けそうもないものが多いのですが、なぜかちゃんとしています。
音量も大きく、高音もしっかり抜けます。
古いものですし個体による差はかなり大きいと思いますが、製造時はレベルの高いものであったと思えます。
コレを作った人に現在の音を聴いてもらいたいですね。
このギターは、結構な時代物の割にはバランスが良く安定しているのですが、強いて云えば音に関する個性が少し足りないかもしれません、強いて云えばですけどね。
しかし、日本の昔の楽器で然程有名ではなくても、ちゃんと考えられて作られた楽器が探せば在るものですね。
トップはブックマッチで合わせてあります。
中にラベルが貼られています。
MONTANO GUITAR NO130
MADE IN JAPAN
130がスタンプですね。
トップもバックもアーチで膨らんでいます。
バックもブックマッチの様です。
写真だと木目と塗装のヒビが混ざり合って判りづらいですね。
指板の先端は1フレット分程度ツバ出しになっています。
ヒール部分、ボディ内部に埋め込みになっている様にも見えますが、詳細は不明です。
ヘッドにはロゴなどは一切ありません。
木目のラベルの様ですが、剥がれそうにも無いので、突き板なのでしょうか?
トラスロッドカバー的なものがありますが、コレは飾りです。
木曽鈴木のギターにも見られますが、当時デザイン的に必要だと思ったのでしょうか?
これだけのギターを作れる会社が、その意味を知らなかったと云う事は無いと思うのですが・・・
そして、一番のポイントは0フレットが付いていると云う事です。
これのお加減で、弦高に関して非常に良い状態ですし、弦の太さを替えてもナットの調整をしなくても良いのはとてもイイです。
トレモロアームとかが付いてないギターは0フレットがあった方がイイんじゃないかと思っています。
ナットの調整が出来ているギターってかなり少ないですよね。
購入者が行うべきもの的な印象がかなり強いですし、演奏性や音質にも大きな影響が在るものですから、メーカーももう少し考えてもらいたいモノだと思います。
ヘッドの裏はこんな感じ、3連のペグが付きます。
ここで見るとネックは3角ネックぽいですが、強度の為にヘッド裏の一番高い部分を削らずに残してある訳ですね。
トラスロッドのカバーが偽モノであるという事は、ロッドは入っていないので強度が必要ですからね。
当時は1弦で013くらいのものが一番細かったと思いますので、今考えるネックの強度とは訳が違うんだという事を覚えておいてくださいね。
ピックガードはラベルを貼っている様に見えますが、ヘッドと同じ様に綺麗な状態です。
判りづらいですがトップは単板の様です。
サウンドホールの淵に在る塗料のせいで段階があるようにも思えますが、1枚の板の様ですね。
それにしてもブックマッチで接合した上で、プレスを掛けてアーチトップを作っていたのでしょうね。
良く剥がれないものです。 特別なアイディアで作業工程を行っていたのでしょうね。
奥に白っぽく見えているのが、トップのブレイシングですね。
これがないと、アーチが凹んでしまう事があります。
在っても外れて凹んでしまう楽器も多いので、良い状態の様です。
ブリッジを良く見ると、一番上の部分に真鍮のブリッジを埋め込んであります。
MONTANOをよく見てみると、一味違います。
見た目は普通ですが、要所要所にアイディアが注ぎ込まれています。
ギブソンL-48等はブリッジも木材なので、削れまくりでいずれ交換修理が必要になるでしょうが、MONTANOは全く減っていません。
0フレットやブリッジの事を考えてみると、演奏家や長期間コンディションを保てる様に考えた設計の様に思えます。
メーカーの情報がかなり曖昧なので、はっきりした事は判らないのですが
かなりまともなメーカーの様な気がします。
実際に当時は委託で製造する事が多かったはずなので、すべてのMONTANOギターがどうであったかは不明ですが、興味はつきません。
アーチトップだけではありませんが、何本かギターを持っているなら、ステンレスの定規の1メートル以上のモノを購入しましょう。
これがあると、ネックのそり等が一発で判りますし、アーチトップの様にブリッジが置いてあるだけのモノは弦長を測ることで正しいブリッジの位置が決められます。
ブリッジの位置が適当だと、楽器として機能しませんからね。
アーチトップを持っている人たちは、その辺をどうしているのでしょうかねえ?
ブリッジの跡などに単に載せている様では、フレット音痴かどうかも判断できませんよね。
こうして見ると大きな木目に見えるものが塗装の傷で目の詰まった板材だという事が判ります。
テールピースはシンプルですがかなり頑丈なものです。
コメント一覧
金額に興味が在る人が多いのは理解できなくありませんが、それしか尋ねない為のコメントは少々常識を疑いますね。
興味のない物の価格を知っても意味はないでしょう。
私はこのエレクトリック版を持っています。ほぼ似たような仕様なのですがfホールの形状が異なっています。塗装のクラックは半端ないくらいありますが造作は驚くほどきっちりしていて日本のギターの製作史上とても貴重なのではないかと思っています。製造年は60年代初期ではないかなと思ったりしています。この手のギターは眺めているだけでいろんな想像を掻き立てられて楽しいですね。楽しいブログありがとうございました。
これにMcCartyを載せてみようと思いましたが、隙間が足りず断念し、結局穴をあけてハムバッカーを載せました。
なかなかいい音しています。
# ブレイシングの幅が広く、ハムバッカーでもブレイシングを切ることなく難なく載せられました。Gibsonだともっと狭いのでちょっと面白かったです。
さてこちらのギター、ロッドカバーが飾りと記載されていますが、私が購入したものは溝が掘ってあり、ロッドらしきもの(ねじ山らしきものは一切なく、ほんとただの鉄の棒?)が入っていましたが、seamanさん所有のものはいかがでしょうか?この時代の日本製の楽器は初めて手にするものですが、他のメーカーも同じようなものが入っているのででしょうか?
写真がないなか恐縮なのですが、もしご存じでしたらご教示いただきたいのですが、当時、日本製のこの手のギターのロッドは鉄の棒みたいなものが入っているものなのでしょうか?これが鉄の棒ではなく、ちゃんと当時の主流なトラスロッドで、ちゃんと12フレット付近まで溝が掘ってあるのであれば、ちょっとした加工で現行のトラスロッドと入れ替えできるものなのかと考えており。
そのため参考として情報をいただきたく。
超極太な漢ネックなので、ロッドを入れ替えてネックを薄くして使おうかな、なんて今目論んでいます、、、
ご質問失礼しました。
此方のNO130にもトラスロッドカバーの下に鉄棒の頭だけ見えています。
これは単純に曲らない為に差し込んである物だと思います。
マーチンのスクエアロッドの様に曲がりさえしなければ良いと云う部分は多少あるのかも知れませんが、この太さの鉄棒でどの程度の効果を見込んでいたのかは不明です。
実際にはアコギの場合は元起き等の問題の方が大きくネックだけの問題では解決しない事も有りスクエアロッドは使用しなくなっていった模様です。
つまり、こうした調整しないタイプのモノはストレートな鉄棒なので、トラスロッドの様に曲げている訳では無いでしょう。
問題は貴方がどのゲージを使うのか
単にネックを薄くしたいのか
このギターは50年近くネックが曲らないで使えていた訳で、此れ程良い状態のモノをいじる事の意味が自分には意味が理解出来ない事と、自分のNO130はネックは使い易く削る必要性は感じていません。
ストラトとかは滅茶苦茶削ってしまいますが。
通常ピックギターでヘッドカバーの無いモノはロッド無しです。
この時代は製作に関しては写真を見て想像で作る時代なので、各メーカーバラバラに作っています。
それが面白い所でもあります。
ピックアップを着けるには、自分のギターは鳴り過ぎますし、ネックがそれ程太く無いので、ピンと来ないです。
個人的にはトラスロッドが必要なギターを今だに作ってる業界にウンザリしてますし、曲らないネックくらい幾らでも作れるのにそうしない連中に呆れてます。
偶然検索していてたどり着き、楽しく拝見させていただきました。
私も以前に古いギターの魅力にはまり、素材の良いものを購入してはリペアや掃除をして楽しんでいます。
たくさんの工房ができた時代だったようですが、しっかりした造りのメーカーも多く、当時の日本の技術者の意気込みを感じます。
私は木曽日弦が好きで何本も修繕してきましたが、トラスロッドが入っていないのにただの飾りのカバーが付いていると思っていたら、調整はできませんがスチールの芯棒が入っていて驚きました。
その加工端部を隠すためにカバーがあるのだと木曽日弦では気付きました
様々なものを修繕してみるとどんどん当時のロマンが感じられ、鳴らす音も当時を偲ばせてくれます。
数少ない資料を探し、当時の様子やモデルを想像するだけでも楽しいですね。
まだ読み始めたばかりですが、もっと参考に読ませていただきます!
同じ頃の同じ製造メーカーによるOEMでしょうか。
ますます沼が深まります。。。